株の価格比較
銀行も含めて会社は突然倒産するわけじゃない。
そういう会社に勤めていれば、ウチの会社倒産するんじゃないかって、自分で予想がつくんです。
だけど、わかっていても何の準備もできないうちに、会社は倒産しちゃうんですよ。
株価もそうだし世間の見る目も、メガバンクのなかで最も危ないのはみずほだと思っているはずです。
江上さんの退職は部下の動揺を誘いませんでしたか。
若手行員はみんな、両親や家族から「みずほは大丈夫なの」と言われ続けてきて、私に「支店長、大丈夫ですか」と開いてくるわけです。
退職が知られたときは本当にダメになるんじゃないかと思ったみたいですね。
だから、「ダメになるんだったらオレは辞めない。
大丈夫だから辞めるんだ」と言いましたよ。
同年輩やOBの人たちの反応はどうでしたか。
OBはけっこう喜んでくれています。
一方、現役役員の視線は意外と冷たいなと。
これにはいまの銀行が置かれた状況が影響しているような気がします。
例えば、まかり間違って銀行が国家管理になったりすれば、これまで銀行の傘の下で面倒を見て貰っていた関係会社のOBの人たちなどはバッサリ切られてしまう。
だから、OBたちの中にはもう銀行には頼らないで自分たちで独立して稼いでいこうという動きが広がっているんです。
だけど現役役貞は、銀行の価値観を傷つけないように生きている限り、面倒を見てくれるという期待をまだ捨てきれない。
私のように銀行の傘から異端のままポーンと出た者とは、関わりたがらないかもしれません。
振り返って、銀行員をやって良かったと思いますか。
良かったですね。
大企業に身を置いたおかげで、良くも悪くも組織の中のしがらみとか人間模様とかを堪能させてもらった。
そのなかであまり横を向かずに、比較的まっすぐ正面を見て勤めることができた。
その経験をもって作家になったからこそ、若干の希少価値というか商品価値もあるようですから、そういう意味でも銀行員で良かったと思います。
サラリーマンとしても運が良かった。
言いたいことを言って、好きに生きてきた。
「そんなこと、おかしいじゃないか」と抗議して、「私を干すなら干せ」とやせ我慢もして、実際に干された経験もある。
それでもわりあい言い分が通ってきた。
だから結局、みずほが大きくなり過ぎて、言いたいことを言っても通らなくなってしまって、辞めたのかもしれませんね。
たしかに、銀行が床の間を背にして仕事をしていた「古き良き時代」、バブルの時代、そしてバブルの崩壊。
合併とそれに続く漂流。
このすべてのプロセスを内側から見てきたというのは、得難い経験ですね。
う一度、点に返る銀行を去る銀行員という仕事は、無から有を創り出すようなところがあって、創造性にあふれてもいるんです。
ひょっとすると、銀行というのは、本来もの凄くリスキーで、刺激的な職場だといえるのかもしれない。
銀行はなぜこうなったのかここから二人で銀行再生の道を探っていきたいのですが、いま銀行が改めるべき点とは何でしょうか。
結局、「銀行はなぜこうなってしまったのか」ということでもあるんだけど、やはりお上頼みと、槙並び意識。
それが組織にも巣くっているし、個々の行員にも蔓延している。
政府に文句ひとつ言うにも、いまだに横並び。
どこかが先頭切って、違うこと新しいことをやってみようという気持ちもない。
懸案を常に先送りするのも相変わらずです。
たとえば黒字化しないと経営陣の首が飛ぶと業務改善命令を出されたら、みんな次の決算では不良債権処理をまた先送りしようかと考えているかもしれない。
そんなことをこの期に及んでもやったら、もうお終いでしょう。
ずっと言われていることではあるけれど、ディスクロージャーも含めて、根底から体質改善をしないといけない。
もう一度原点に返って、自分で自分の体を切り崩すぐらいの勇気が経営陣をはじめ行員にないと駄目でしょうね。
公的資金の注入でも銀行は横並びでしたね。
支店にいて実感したのは、公的資金の注入で不良債権の償却が一気に進んだことですね。
要らないと言い続けておいて、本当はどこの銀行も欲しくてしょうがなかった。
横並び意識っていうのは、言い換えると「異端は認めない」ということでもありますね。
みんなお仲間で同じ顔してやるのが良い、と。
先送り体質にしても、要するに誰も責任を取らなくて済むからです。
問題解決を図れば、責任を取らざるを得なくなりますからね。
逆に言えば無責任が許されたから、頬被りや問題の先送りも可能だった。
ただ、私が最近痛感するいちばんの問題は、経営トップが「バカ」なんじゃないかということです。
少し投げやりな言い方なんですが、どうしてこんなことさえ分からないんだろうと思いますね。
それは、こういう経営をしようという理念や哲学がないからです。
私自身、ずっとこれを言ってるんですが、みずほの場合、統合以来三人が同じ権限をもって並んでいて、うまくいくはずがない。
しかし、おかしいとは自分たちから言えない。
今みんなが望んでいるのは、強力なリーダーシップを持っている人が出て来てくれないかということです。
やはり価値観を新しくしないとダメですね。
逆にいえば、かつての規制金利の時代、つまり銀行の古き良き時代には、何も考えなくても経営トップでいられた。
何も変えなくても儲かってきたわけですから。
ただ、最近気付いたことなんですが、よく言われる「護送船団方式」というのは、「スピードの速い大手銀行・都市銀行と、スピードの遅い中小金融機関を同じスピードで走らせて、中小が沈没したら大手が救う」という説明をよく聞きます。
でも、それだけじゃないなと思うようになったんです。
つまり、規制金利の時代は、規模が大きければ大きいほど儲かる。
中小金融機関よりも経費率が低いわけですから。
この体制を維持してきた大蔵省の論理というのは、大手金融機関と中小金融機関の収益の差は、大手にとっての「不労所得」であると。
大手には不労所得を認めているんだから、中小が駄目になったら、その不労所得で救済しろというのが、護送船団方式の本質だったのではないかと思うのです。
ところが金利が自由化されて、大手銀行の不労所得がなくなってしまった。
すると、それまでのヒエラルキーが崩れて、「中小金融機関も企業も教えません」となって、銀行混迷の時代が始まったのではないかと考えるわけです。
それならば、銀行のビジネスモデルを大きく組み替えないと、もはや維持すらできない。
その一つの手段が合併だった。
三菱が東京と合併したのも、そういう理由があったからだろうし、UFlも然り。
りそなも結果的には失敗したけど、当然そういう発想があった。
基本的に銀行というのは、合併以外、経営者がやることは何もない業界ではある。
それしか規模拡大や収益拡大を図る方法はないですからね。
合併すれば当然、経費も下がる。
予想したほどは下がっていないけど。
合併自体は悪くないですよ。
銀行でやるべきことは、大胆なリストラです。
しかし、いまの日本の企業文化では、それができない。
他業種なら、もっと思い切った人事をやるでしょう。
でも銀行は、役所みたいな年次主義をかたくなに踏襲している。
だから人がたくさんいる割には選択の幅が狭い。
人材がいない年代からでも役員を選ばなければならないことになる。
株のココだけの話をしましょう。株の意識を持つことが重要です。
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